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時間:2011-04-22
NECはこのたび、大量の果物の一つ一つを、写真から高精度に識別できる、農作物の照合技術(アグリバイオメトリクス)を開発しました。
本技術は、世界トップレベルであるNECの指紋・顔認証技術を応用したもので、果物の外観を撮影し、表皮の模様を基に、個々を識別できます。
本技術により消費者や販売業者は、バーコードラベルや電子タグを用いることなく、生産者が出荷前にカメラで撮影し登録した写真と照合するだけで、栽培記録や産地などの情報を入手できます。これにより流通過程における産地偽装の防止と、安全・安心なトレーサビリティの実現に貢献します。
本技術の検証のために、約1800個のメロンを撮影した写真を用いて実験を行い、100万個を識別可能な照合精度実現しました。
本技術の特長は以下の通りです。
1. 指紋認証技術を応用して、個々の果物の模様を認識できる技術を開発
指紋認証技術で培った独自のパターン認識技術を応用し、果物の表皮の模様を基に、人間には判別が困難な個々の果物を高精度に照合できる技術を開発。果物表皮の模様は、栽培過程で自然に生成されるランダムなパターンで、同一品種でも一つ一つすべて異なるため、外観のみで個々を識別可能であるとともに、偽装が極めて困難。
2. 顔認識技術を応用して、斜め向きの写真を正面に補正する技術を開発
顔認証技術で培った3次元映像認識技術を応用し、農産物の撮影方向を自動的に補正する技術を開発。最大20度まで斜めから撮影した写真でも、正面から撮影した写真に補正できるため、店頭や栽培現場など、撮影方向を一定にすることが困難な場所でも、市販のカメラで簡単に照合可能。
近年、食品や農産物において、産地や栽培履歴の情報の偽装や誤表示などの問題が増加しています。そのため、個々の農産物にラベルや電子タグを付けて情報を管理していますが、取り付けにコストがかかる上、ラベルの貼り替えや中身の入れ換えなどの偽装のリスクがあります。これに対して、DNA鑑定や元素分析で産地を証明する方法が利用されていますが、日常的な対応は困難です。
このたび開発した技術は、個々を識別することで上記の課題を解決します。
NECでは他の農水産物への展開など、今後も本技術の研究を進め、2~3年後の実用化を目指します。また、本技術を流通管理だけでなく、農業現場からマーケティングまで、サプライチェーン全体を支援するクラウドサービスとして提供するため、応用技術の開発を進めてまいります。
なお、NECは本技術を、本年3月8日から11日まで東京ビッグサイト(東京都・江東区)にて開催される「リテールテックJAPAN」で展示しました。