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CyberWorkBenchが世界で初めてC言語ベース統合設計環境としてFPGA専用版を販売開始

時間:2011-08-25

~FPGA対応の新製品:CyberWorkBench Professional、Standard、Basic~
 
NECはこのたび、半導体設計の高位合成ツールCyberWorkBenchのFPGA専用版を本日から販売開始しました。 
 
CyberWorkBenchは、NECが開発した、C言語ベースLSI(注1)統合設計環境です。ANSI-C、SystemCと呼ばれるC言語から回路を自動生成するツール(高位合成ツール)と、その周辺に統合された独自の検証・デバッグ環境からなり、全ての回路をC言語で設計し、そのC言語記述上で検証できる“All-in-C”というコンセプトを実現しています。合成系は、制御回路、データ系回路等全ての回路を高品質に合成します。また、検証系は、ソフトウェアとの協調検証環境、ソースコードデバッガ、形式的プロパティ検証等からなり、C言語上で、効率的に回路の検証、デバッグを支援します。
 
LSIの設計は、上流側から、仕様設計、機能設計、論理設計、レイアウト設計からなっており、従来は論理設計以降の自動化が行われていました。CyberWorkBenchは、その一つ上流の機能設計からの自動化を実現しました。そのため、記述量が平均で1/7程度に削減され、シミュレーションも数百倍に高速化でき、設計工数や設計期間を数分の一に削減することが可能で、多くのLSIで成功しています。CyberWorkBenchは、従来からFPGAに対応していましたが、主にLSIの試作機検証用として利用されていました。昨今、FPGAが最終製品に利用されることが増加している状況を鑑み、FPGAに特化した最適化機能を盛り込んで、価格を抑えたFPGA版の販売を開始したものです。
 
これまで急成長を遂げてきたFPGA(注2)が販売開始されたのは、約20年前です。近年、FPGAは、高速な外部インタフェースへの対応や、伝送データ精度が向上し、また、画像処理、信号処理などをスムーズにするため、汎用の回路ブロックとは別に、DSPブロックの搭載や、多数のメモリブロックが使用可能となることで、高集積および高性能となっています。これらの高い技術力と、回路構成の書き換え可能という特性により、FPGAは、広範な分野の電子機器に採用されており、回路規模も大規模化し、設計の効率化が強く求められています。NECは、FPGAの有力メーカーであるアルテラ社、ザイリンクス社と協力しCyberWorkBenchのFPGA向けの最適化機能を開発し、本日、CyberWorkBench FPGA専用版の販売開始に至りました。


FPGAは、現在、Verilog HDL、VHDL等のHDL(注3)入力が主流ですが、CyberWorkBenchを利用することで、FPGAをC言語で設計することができます。C言語は広くソフトウェアで利用されており、その記述をそのままハードウェアに変更することができるため、顔照合や高度な暗号等、ハードウェア化が困難だった機能がハードウェアで実現可能となります。従来CPUでしか実現できなかった機能が、FPGAで実現可能となり、FPGAの応用範囲が大幅に広がると考えています。
 
CyberWorkBench FPGA専用版の特長は以下の通りです。
 
①使用用途に合わせた製品ラインアップと価格設定
FPGAユーザーの用途に合わせて、全てのFPGAでCyberWorkBenchを利用できる 
Professional版、設計対象FPGAのシリーズを限定し、設計する回路規模に制限を設けているStandard版、Basic版の3種類の中から選択可能。Basic版の販売価格は、200万円から(税抜き)。
 
②FPGA向けの最適化された合成機能
FPGAは、通常のLSIと異なった構成をしており、FPGAに特化した構成の回路(HDL)を出力する必要がある。CyberWorkBenchは、各社のFPGAデバイス、シリーズ毎に特化した最適化を行い、特に、DSPブロックやメモリブロック等を利用した回路の周波数や性能を改善。
 
③GUI操作の容易化
LSI設計に馴染みのないソフトウェア設計者およびLSI設計初心者も簡単にCyberWorkBenchを利用できるよう、従来のLSI向けのGUIを簡素化し、直感的で容易な操作を実現。さらに、合成オプション等を設定することなく、「プッシュボタン合成機能」を搭載。
 
④マニュアル、トレーニング教材の充実
LSIの知識の少ないユーザーでも利用可能なように、マニュアル、および、トレーニング教材を充実。
 
NECは、CyberWorkBenchにより、ソフトウェア機能で実現していたものをハードウェア化することにより、電子機器の低消費電力化、高速化、低コスト化に貢献します。また、CyberWorkBenchを導入することで、C言語ソフトウェア開発者を、よりリソースが不足しがちなLSI設計に振り向けることも可能となります。
 
NECは、このFPGA版CyberWorkBenchの販売目標として、国内外で年間300社以上を目指します。
 
製品の詳細は以下URLをご参照下さい。
http://www.nec.co.jp/soft/cwb/
 
以上
 
■ 注記
(注1)LSI
Large Scale Integrationの略。特定の複雑な機能を果たすために、多数の素子を一つにまとめた電子部品である。主に半導体で構成された電子回路が、複数の端子を持つ小型パッケージに封入されている。
(注2)FPGA
FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略。内部の回路構成を書き換えることができるLSIのこと。
(注3)Hardware Description Languageの略。ハードウェア記述言語は、デジタル回路、特に集積回路を設計するためのプログラミング言語の一種であり、RTL(Register Transfer Level)と呼ぶこともある。


*記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。

<本件に関するお客様からの問い合わせ先>
NEC 組込みシステムソリューション事業部
電話:(044)435-9486
E-Mail : infocad.jp.nec.com
 
CyberWorkBenchの製品構成

CWB製品名 Enterprise Professional Standard Basic
設計用途 ASIC / FPGA FPGA FPGA FPGA
ターゲット・デバイス 任意 FPGA限定 FPGAシリーズ限定 FPGAシリーズ限定
ALTERA Stratix
Arria
Cyclone
XILINX Virtex
Kintex
Artix  Spartan
実行形態 GUI
CUI NA NA
合成の規模制限

FPGAシリーズ限定は、全世代のFPGAに対応いたします。新しい世代のFPGAが販売された場合、無償でCyberWorkBenchを更新いたします。