~事業環境の激変に迅速に対応可能なITシステムを実現~
NECは、全日本空輸株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:伊東信一郎、以下ANA)において、事業環境の激しい変化に迅速に対応できるIT基盤を構築しました。
本IT基盤は、SOA(Service Oriented Architecture 注1) の考え方をベースに、NECの大規模基幹システム開発を支えるOMCS(オープンミッションクリティカルシステム)SI技術を用いて構築された「共通連携基盤」です。旅客管理システム・運航管理システム・決済システムなどANAの基幹業務システム間のデータ連携を標準化するとともに、今後新たに構築するシステムやクラウドサービス等との迅速な連携を可能とします。
NECは、ANAの約70種におよぶ基幹業務システムを、OMCS SI技術を駆使することにより約4ケ月という速さで、この「共通連携基盤」へ移行することに成功しました。極めて高い信頼性が必要とされる多数の基幹業務システム全てを、業務を継続しながら短期間で「共通連携基盤」に移行するのは、国内でも先進例と言えます。
さらに、NEC製ソフトウェア「WebSAM(ウェブサム)」を中核とした共通連携基盤専用の統合監視システムを新たに導入し、システム全体の安定稼働を実現、合わせて24時間365日オンサイトでの保守・運用体制をANAと共同で確立しました。
航空業界の競争が激化する中、ANAは「グローバル化への挑戦」「経営効率向上の実現」を経営戦略として掲げ、その一環として、変動対応力と低コストを両立するITシステムの構築を進めています。
従来、個々に構築された多数の基幹業務システムや関連システムが、異なる通信手段で複雑に連携していたため、老朽化に伴う既存システムの一部改修も大掛かりになりやすい、新規システムの開発期間が長期化、運用保守コストの増大といった課題がありました。
今回構築した「共通連携基盤」は、ANAにおける“ITシステムの標準化”を飛躍的に進め、将来のさらなるITシステム変革を推進します。
新システムの主な特長は、次のとおりです。1.ESB技術を活用しシステム間連携を標準化、拡張性・柔軟性を向上個別最適化された多くのシステムを標準化されたインタフェースで連携するために、ESB(Enterprise Service Bus、注2)技術を活用した「共通連携基盤」を構築。ESB製品としてオラクル社製「Oracle Service Bus」を採用し、70種の基幹業務システムを約4ヶ月という速さで「共通連携基盤」への移行を達成。
この基盤によって、従来のようなシステムごとの個別インタフェースを作り込む必要がなくなり、開発工数を約3割削減が見込める。
2.高可用・高性能な大規模「共通連携基盤」を構築サーバ、ストレージには、信頼性・拡張性・柔軟性に優れたNX7700i iStorage D8シリーズを採用。NECのOMCS SI技術に基づく高可用設計と徹底した性能検証により、システム稼働率99.995%(サービス全体では無停止)の高い可用性と、最大1,000件/秒を超える膨大なデータを最大TAT(注3)130ミリ秒で処理する高性能を兼ね備えた基盤構築を実現。
3.システム全体の性能異常を早期に検知し、原因分析を迅速化NEC製統合管理ソフトウェア「WebSAM MCOperations」(注4)を中核とした統合監視システムを導入し、高可用性を実現。共通連携基盤のインフラからアプリケーションの状態まで、業務システム単位でリアルタイムに見える化することで、性能遅延を早期に検知し、障害時の影響範囲の把握や原因特定を迅速化。
また、共通連携基盤の開発段階から、運用プロセス設計をANAと共同で実施。約3万件の障害対処ナレッジにより、インシデント1件あたりの平均対応時間を従来比で約90%短縮化し、運用後の安定稼動を実現。
NECは、本実績を踏まえ、大規模ミッションクリティカルシステムの構築ノウハウと最新の技術を用いて、顧客企業の経営/業務革新に貢献するシステムを開発・提供していきます。
なお、本事例は、「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2011」(期間:11/10(木)~11日(金)場所:東京国際フォーラム(東京都千代田区))において、 11/10(木) 16:45~17:30に講演予定です。
http://www.nec.co.jp/uf-iexpo/common/detail.php?ID=200440以上
(注1) 情報システムをサービスの集合体として構築する設計手法。
(注2) 企業内外の異なる技術やデータ形式を持つシステム間を柔軟に接続・連携させるための論理的なバス、およびそれを実現するミドルウェア製品。
(注3) Turn Around Timeの略。システム処理要求を送ってから、結果の出力が終了するまでの時間。
(注4) マルチベンダ/マルチプラットフォーム環境のシステム全体を業務視点で一元的に管理し、異常の検知から障害原因分析、対処方法の判断/実行までを自動化する。
<事例に関する情報>
http://www.nec.co.jp/library/jirei/ana2/ANAで構築した「共通連携基盤」の概要「Oracle Service Bus」を採用し、SOAベースの共通連携基盤を構築。可用性を向上するため、共通連携基盤を独立した3系統で構築しているほか、「WebSAM MCOperations」を中核とした統合監視システムを構築。