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China

NEC、寿命を従来比2倍以上に向上するマンガン系リチウムイオン二次電池技術を開発

時間:2011-12-09

~家庭向けや電力系統向けなど、定置用蓄電池での適用へ~

NECは、マンガン系リチウムイオン二次電池において、寿命を従来比2倍以上に向上する技術を開発しました(注1)。

本技術は、新開発の添加剤を電池の構成要素である電解液に加え、従来のマンガン系正極/炭素負極の電極と組み合わせるものです。
本技術を利用して、容量3.7Ahの積層ラミネート電池(65Wh/kg)を試作し、一般的な家庭のエネルギー消費パターン(注2)に基づいて寿命予測を行いました。その結果、充電可能な容量が初期の70%に低下するまでの年数が、従来の約5年から約13年、同50%では約15年から約33年となり、2倍以上の長寿命化を実現しました。

開発した電池技術は、家庭やビルへの設置だけでなく、より高い耐久性が要求される電力系統の安定化を目的とした大規模蓄電システムへの利用にも適しています。

NECは従来から、安価で埋蔵量が豊富なマンガン系正極を用いたリチウムイオン二次電池を開発し、携帯機器や電動アシスト自転車などに適用してきました。しかし、高い耐久性が要求される定置用の蓄電池に用いた場合、繰り返し充放電を行うことで、電解液の溶媒が分解されて負極上に皮膜が形成される、正極のマンガンが除々に電解液へ溶出するなどにより電池の抵抗が高くなり、容量が低下するなどの課題がありました。

これまでマンガン系正極/炭素負極の電池おいて、電解液に添加剤を用いて耐久性の改善が行われてきましたが、十分な特性を得られていませんでした。このたび開発した電池は、添加剤に独自の有機硫黄化合物を用いることで、一回の充放電で電極上へ強固な保護膜を形成し、溶媒の分解を抑制する事が可能です。開発した電解液の基礎評価(注3)を行なったところ、抵抗上昇を従来比1/2以下、サイクル寿命を従来比1.5倍~3倍とし、繰り返し充放電による容量の低下を大幅に抑えました。

また、試作した電池を用いて耐久性評価実験(注4)を行ったところ、23,500サイクル(連続4年以上)の充放電を行い初期容量の83%(25℃)を維持することを実証しました。

このたび開発した電池の基盤技術は、平成23年度7月より開始している、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発(大規模蓄電システムを想定したMn系リチウムイオン電池の安全・長寿命化基盤技術開発)」に利用する予定です。

NECは今後も研究開発を進め、エネルギー密度の高いセルへの本技術の適用を目指します。

なおNECは、このたびの成果に基づいて行なった電池の寿命予測について、本年10月17日から20日まで東京都で開催される「第52回電池討論会」において、18日に発表します。

以上

(注1)当社比。電解液に従来の市販品を利用した電池との比較。
(注2)(社)日本建築学会「住宅内のエネルギー消費量に関する調査研究委員会」http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/HP/HP/database/japan2/index.htm,関東戸建04、2003/10/01~2003/10/06期間中各時刻における総電力使用量の平均値を算出。
(注3)18650型円筒セル、2320型コインセル、三極式セルなど、実験室レベルでの評価。    
保存試験とサイクル試験は18650円筒セルで実施。
(注4)容量3.7Ahの積層ラミネートセルで実施。25℃、45℃、55℃でのサイクル試験(1時間でフル充電、1時間でフル放電)による容量維持率および抵抗上昇。同温度での保存試験(充電状態、SOC:60%)による容量、抵抗上昇などを総合的に評価。