~インフラと"人"がつながるスマートシティ実現に向けて~
NECは、都市インフラの制御に加え、住民の協力により都市全体を最適化するための、個人の特性に応じた行動促進技術を開発しました。
本技術は、心理学的なアプローチで個人の特性をいくつかのタイプに分類し、各タイプに応じて適切な情報提示やアドバイスなどの働きかけを行うことで、人々の自発的な協力行動の促進を可能にするものです。
従来から、社会における人々の協力行動を促進する手法として、行動結果の見える化や、ポイント・金銭などのインセンティブの付与などが、様々な分野で利用されています。しかし、これらの手法では、個人の行動結果の利用にとどまり、行動要因の違いを考慮していないため、十分な促進効果が得られない場合がありました。今回、上記課題の解決に向けて、個人の行動要因を反映する技術を開発しました。
またNECは、今回開発した技術を、環境行動促進のためのシステムに適用しました。今後は、システム利用により自ら積極的にエネルギー消費を抑える行動を起こす効果についての実証実験を行う予定です。
本技術の特長は、以下のとおりです。
- 社会心理学者との社会調査(注1)により、人がなぜ行動を起こすのかをモデル化し、実際の行動のモニタや簡単なアンケートへの回答によって、その人の行動要因を判定、6つのタイプに分類(今回の環境行動促進システムの場合、個人の行動要因ごとに、金銭重視タイプ、社会メリット重視タイプ、褒められたいタイプ、気恥ずかしさタイプ、など、6つに分類)
- 判定したタイプに基づいて、個人のやる気を最も刺激する手法で働きかけを実施。(例えば、金銭重視タイプの場合、節約された電気料金の総額や、家電を止めた場合に節約可能な金額を提示。気恥ずかしさタイプの場合、節電量に応じた全員でのエコマラソン画面を表示、他者の活動状況を示すとともに、前の人に追いつくための具体的な活動をアドバイス)
- 提示した情報へのアクセス履歴や行動履歴から個人のタイプの時間的な変化を検出し、提示内容を変更。
NECは、人々を含めた都市全体の最適化による「人と地球にやさしい」スマートシティの実現を目指して、今後、本技術を環境行動の促進だけでなく、交通や健康増進等、様々なサービスへの適用に向けて、研究開発を進めてまいります。
注1:奈良大学社会学部心理学科・村上史朗准教授との共同研究。