~本技術を放送業務用カメラ新製品に搭載し発売~
NECは、夜間や暗所など、カメラを高感度撮影する際に発生するセンサノイズを抑圧することで、映像の鮮明化を実現する技術を開発しました。
昨今、夜間や暗所において鮮明な映像を撮影したいというニーズが高まっています。暗所で撮影した映像は、イメージセンサ(注1)から出力される映像信号を増幅し明るくしますが、本センサで発生したノイズも同時に増幅されるため、映像品質が劣化し視認性が低下します。このため、映像のノイズを効果的に抑圧し、映像品質を改善する映像鮮明化技術の向上が求められています。
このたび開発した技術は、映像の輝度によって異なるイメージセンサのノイズ特性を利用して、ノイズ成分を分離し抑圧するものです。これにより、映像の鮮鋭さを保ちながら映像品質の向上を実現します。本技術をカメラに用いることで、イメージセンサへの入射光量が約1/2に落ちても被写体の視認性が維持されるため、より暗い場所で映像の撮影が可能になります。
新產品特點如下:
- エッジを保ったノイズ抑圧を実現し主観画質を向上
暗所で撮影した映像には高周波ノイズが多く発生するため、一般に高周波成分の分析によるエッジ(物体と背景の境界線)の抽出が難しく、ノイズの抑圧とともに解像感が低下し、ぼやけた映像となる。本技術では、イメージセンサのノイズ特性が各画素の輝度(明るさ)レベルによって異なる性質を利用して、エッジ成分とノイズ成分を分離しノイズを抑圧。さらに一枚の画像について、低周波ノイズが含まれる低解像度から高周波ノイズが含まれる高解像度まで多重解像度で処理することで、低周波から高周波までのノイズ抑圧を実現。これらにより、暗所での撮影映像においてもエッジの鮮鋭さを保ったノイズ抑圧が可能となり、映像の視認性が向上。
- 小規模な回路構成かつ省メモリで、リアルタイムなノイズ抑圧を実現
計算アルゴリズムの最適化と、処理のタイミングにおける無駄を排除する最適スケジューリングにより、回路の利用効率を向上。小規模なハードウェア構成でHD映像のリアルタイムなノイズ抑圧を実現(注2)。。
なお本技術のうち特長1を搭載し、高感度撮影機能を強化した放送業務用カメラの新製品「NC-H1000Ⅱ HDTV高感度CCDカラーカメラ」を2012年7月に発売します。本製品は、放送用情報カメラ、報道中継用カメラ、高所監視カメラなど幅広い用途での運用が可能です。
NECでは今後も、映像関連事業およびパブリックセーフティ事業の拡大に向けたメディア処理技術の開発に積極的に取り組んでまいります。
註釋
(注1)
イメージセンサ(固体撮像素子):人間の目の網膜に相当するもので、センサの受光面に結像した被写体の光の明暗情報を電気信号に変換(光電変換)し、映像として出力するデバイス。
(注2)
入力映像ソースがHD映像(8bit YUV422、30フレーム/秒)の場合、回路規模200Kゲート、メモリサイズ1Mビットと、小規模なハードウェア構成でリアルタイム処理が可能。