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NEC、異常気象・災害・事故など事前想定が困難な環境変化に対応するIoTシステム向け「自律適応制御技術」を開発

2015-7-27

    NECは、IoT(Internet of Things)化の進む社会インフラを運用・管理するシステム(以下、IoTシステム)において、事前想定が困難な環境変化に適応し、人や物を最適に配置・配分する「自律適応制御技術」を開発しました。


    本技術は、IoTシステムを、その効率性・快適性・安全性などの指標を元に制御する手法で、異常気象、災害、事件・事故などで生じる環境変化に対して、複雑な制御ルールなしで、社会インフラを最適な状態に近づけます。


    本技術により、例えば、タクシーやバスなど交通システムの適切な配車、集荷要求に応じた物流システムの適切な制御、市街地や施設の監視・混雑緩和に向けた警備員の適切な配置、住宅・ビル等の施設におけるエネルギーの適切な需給調整、等の実現が期待できます。


    なお、NECは、タクシーの配車やエネルギー管理を対象に、本技術の効果を評価しました。タクシーの配車では、乗客の発生状況に応じてリアルタイムに適切な配車を行うシミュレーションにより、乗客獲得数が10%以上向上しました。また、エネルギー管理では、オフィスでの実証実験により、居住者の快適性を損なうことなく、約10%の節電を実現しました。


    NECは「社会ソリューション事業」に注力しており、今後も社会インフラを最適化・効率化するIoT関連技術を強化することで、安全・安心な社会づくりに貢献していきます。

背景

    昨今、大規模な社会インフラシステムは、今後ますますIoT化が進み高度化していくことが予想されます。さらに、人手による管理だけでなく、ICTを活用したシステムの運用状態の把握や運用効率化も期待されています。


    しかし、実世界の社会インフラシステムは、多くの構成要素が複雑に絡み合い、環境変動などの外的影響も受けやすいため、正確な制御ルールの作成が困難な場合や、制御ルールを作るための良質な過去データが存在しない場合があります。

    例えば、ゲリラ豪雨や電車事故など、突発的な事象を事前に網羅的に予測することは、現実的には非常に困難です。また、一過性のイベントであれば、適切な過去データ自体が存在しないケースも想定されます。

    大規模・複雑かつ、環境変動の影響を受けやすい社会インフラシステムを効率的に運用するには、これらの事前想定が困難な環境変動にも柔軟に適応する手法が求められます。


    今回開発した技術は、初めて遭遇する環境にも柔軟に対応できる生物の適応メカニズムを基にした(注1)新たな制御手法です。

    本手法により、事前に準備不可能な突発的な事象による環境変化が発生した際の制御ルールを設定することなく、システム全体を自律的に最適化できるようになります。


新技術の特長

事前に想定困難な環境変化に対応し、システム全体を最適化する手法を開発
    システム全体を細かなサブシステムに分け、構成する個々のサブシステムが、動的かつ自律的に自身の動作を決定できる独自の手法(アルゴリズム)を開発しました。本手法では、各サブシステムに、システム全体の制御目標に対する個別の指標を設定し、本個別指標をサブシステム同士が相対比較してルールや動作の決定を行います。

    これにより、最初に全体の制御目標を決めるだけで、複雑な制御ルールを作ることなく、想定外の事象に対して個々のシステムが必要な資源を柔軟に調整して、システム全体で最適化と効率向上を実現できます。

大規模システムのリアルタイムな環境変化に適応
    各サブシステムが、局所的な情報のみを用いて分散して計算を行うことで、演算の軽量化を実現します。システム全体の情報を用いて集中的に計算を行う手法に比べ、大量の機器からなる大規模システムにおいても、最適な動作を短い時間間隔で繰り返すことが可能となり、急な環境変化にもリアルタイムに対応できます。

IoTデータの欠如や故障に対する高い耐障害性を実現
    一部のサブシステムに故障やデータ欠如があった場合でも、正常なサブシステムのみでシステム全体が最適な状態に近づくように動作し続けます。一部のシステムに不測の障害が発生した場合でも、動作を継続できる高い耐障害性を実現します。

    NECは本技術を、交通(タクシー、バス、カーシェアなど)における需給調整、物流における集荷要求への対応、市街地や施設の監視・混雑緩和・誘導における警備員の最適配置、電力会社・ビル・家庭でのエネルギーマネジメントシステムにおける需給調整など、様々な領域の社会インフラシステムに応用するために実証・実用化を進めます。

    今後もNECは、ビッグデータによるアクチュエーション(制御・誘導)技術の開発に積極的に取り組んでいきます。


    NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。


    以上

(注1) 生物の適応メカニズム 例えば、アメーバが食物を獲得する際、周囲の食物の分布に合わせて各部位同士が自律的に影響を与えて体の形を変えることで、全体効率を最大化するようなメカニズム。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 研究企画本部 プロモーショングループ

 


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